KaKuKoTo

まずは毎日かくこと

リクルートスーツ

うちの会社の食堂は、研修に来た方々も利用出来るようになっておりまして、つい最近、営業さんかな、と思しき若いスーツの集団を見かけました。
男性はスーツに着られてる感丸出しの方も多く、部署の裏地に遊びのあるジャケットやカフスを活かせるお兄様方にはまだまだ遠く及ばず、といった感じでしたが、女性陣の夏らしいグレーやベージュの、体にフィットしつつもタイトすぎない爽やかなジャケット姿にはっとさせられ、じっと自分のウエストゴムのパンツを見るのでした。
先輩方曰く、今年入った営業職の新人さんたちらしく、あの4月に真っ黒な髪とスーツの集団がこんな立派な姿に!と驚かされました。
さながら蛹を破って蝶になったような。

新卒一括採用は日本の悪しき習慣と叫ばれて久しく、横並びの採用スケジュール、採用基準、そして、極めつけは「量産型」とまで言われる、真っ黒な髪と真っ黒なリクルートスーツ。
しかし最近私の目には、一つの風物詩、期間限定の儚さというか、趣きをたたえて写ってしまうのです。

春先に、就活生四人女子と交差点ですれ違ったことがありました。あまりにその風景が絵になったので、忘れられないのです。
お揃いみたいな黒いジャケットに膝丈の黒いスカート、5センチヒールくらいの黒いパンプスの女の子達が、ちょうど桜の折、ひらひら舞う花びらに歓声をあげながら、ちょうど流行っていたスタバのピンクのフラペチーノをめいめい手に、小走りに横断歩道を渡っていました。
黒と桜色のコントラストと、未来ある若いエネルギーと。
彼女たちが、それぞれ描く未来に向かって社会への第一歩を踏み出せるような、納得のいく就職活動が出来ていたらいいな、と今でも時々思い出します。