KaKuKoTo

まずは毎日かくこと

小さな世界

祖父は、定年まで勤めた会社で「銀獅子」と呼ばれていたそうです。白髪で、よく吠えたから。曲がったことが大嫌いで、厳しくて、いつも怖かった。お葬式には、家族葬にも関わらず、たくさんの昔の部下がお線香をあげに来てくれました。

父は、父親の頑固一徹さを好もしく思っていたようです。高校時代は融通の利かない学級委員長で、落ちこぼれの子をかばい、教師の矛盾を追及して、ビンタされて鼓膜が破れたそうです。今では立派な「会社の為を思ってくれているんだけど、正論のうるさい年寄り」になっております。

私はどうか。

女性であることもあり、また弁が立たないこともあり、大っぴらに人と対立するのは得意ではありません。たとえ相手が間違っている、と思ったとしても、真正面から指摘するのは苦手です。

ただ、だからと言って「なんかおかしいよなあ」という気持ちに蓋ができるかというと、出来なくて、ずーっとずーっとくすぶってしまう。

じゃあ何が出来るんだい?何か変えて見せておくれよ、という思いで苦しいのですが、出来ることと言ったら「誰が何と言おうと、自分が正しいと思うことをやり通す、流されない。ただし出来る範囲だけど」ということだけです。

自分が正しいと思う、小さな世界を一生懸命守って生きているのです。

そうやってコツコツ仕事をしていると、わかってくれる人、信じてくれる人、頼ってくれる人が少しずつ少しずつ、増えてきました。

声が大きくて、勘所をガチっと押さえてうまくステップアップしていく人も、群れて声が大きくなった気がして安心している人もたくさんいる。

いつも、そういう「うまくやれる人たち」に、笑われてるような気分になってしまうのですが、しょげていたところに、死ぬほど忙しい人が、私の小さな世界の、中でもちっぽけなことのために、真剣なアドバイスをくれ、前を向けそうな気がしました。

小さな世界を守って、少しずつ広げていくことで、周りにもほのかに良い影響を与えられるような、そんな人間になりたいと思います。